ウレタン塗料とワックスの違い

ウレタン塗料とワックスの違い

なぜ樹脂ワックスが一般的であったか

フローリングには、樹脂ワックスによるメンテナンスが一般的とされていました。これは、「樹脂ワックス」がベストの選択だったために選ばれてきた訳ではありません。

一般的にフローリングの床材表面には、工場であらかじめ塗装が施されています。その後のメンテナンスも同じ塗装が望ましいのですが、溶剤臭、乾燥時間、硬化時間、コストなど施設を長期間閉鎖する必要があり、塗装によるメンテナンスは一般的ではありませんでした。
施設を利用しながらメンテナンスを実施するには、「樹脂ワックス」しか選択肢が残らなかったのです。

しかし、現在では技術が進歩して塗装も水性化し、かつ従来の溶剤形以上の性能を持つようになり、水性ウレタン塗料が商業施設などの現場塗装でも、用いられるようになってきています。

ウレタン塗料と樹脂ワックスの違い

ウレタン塗料のメリット
  • 高耐久性でメンテナンス周期を大幅に延長できる

    樹脂ワックスと比較して6〜10倍強の厚みの塗膜を形成し、床をしっかりと保護します。 また、耐久性や耐水性、耐薬品性が樹脂ワックスよりもはるかに優れています。

  • 表面仕上げの質感が選択できる

    光沢あり、セミグロス、シルクマット(鈍い光沢で木の暖かみのある風合いを残す)、つや消しなど、表面仕上げの質感を複数から選ぶことができます。

    表面仕上げの質感

  • 床材にやさしい

    作業工程の中で、水はほとんど使用しませんので、床材に対して大変やさしい作業内容です。

  • メンテナンス周期を延長することができる

    形成される塗膜の厚みや耐久性に優れているため、メンテナンス頻度は大きく延長することができます。また、表面仕上げに光沢をおさえたシルクマットやつや消しを選択することにより、床材表面の細かいキズが目立たなくなり、メンテナンス周期をさらに延長することができます。

    参考(1週間に10万人来客する都内の商業施設)

    1. 光沢仕上げで年4〜6回塗布
    2. シルクマット仕上げで年2〜4回塗布
    3. つや消し仕上げで年1〜2回塗布

  • 日常のお手入れが簡単

    日常のお手入れが簡単 ウレタン塗料は塗膜が強靱なため、日常のお手入れが簡単になります。
    また、汚れが付着しても簡単に落とすことができます。
    表面仕上げに光沢をおさえたシルクマットやつや消しを選択することにより、さらにお手入れは楽になります。


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樹脂ワックスのメリット
  • コストが安い

    1回あたりの作業単価が安いことは大きなメリットです。

  • 乾燥時間が早い

    乾燥後すぐに使用開始できます。

  • 施工が簡単

    一時的に汚れやキズを隠して、簡単にキレイに見せてくれます。

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ウレタン塗料のデメリット
  • コストがかかる

    1回あたりの作業単価が高くなります。 使用する材料費、材料の量、求められる作業スキル、すべてがワックスよりも高くなります。

  • 乾燥時間が長く必要

    塗布後30分以内で乾燥するワックスとは違い、塗布後乾燥までに3時間ほど必要とします。その間、歩行禁止となります。重歩行までには、出来れば塗布後8時間の乾燥養生、少なくても5時間は必要となります。 溶剤形を塗布した場合は、塗布後翌日も歩行禁止になります。溶剤形が多く使用される体育館等では、一般的に施工後使用開始まで3日間の養生期間を設定しています。ただし、水性塗料の場合はもっと少ない養生期間で済みます。

  • 溶剤臭による臭いがある

    溶剤形を使用した場合は、強い溶剤臭が残り、施設利用の方々に不快感を与えます。ただし、水性塗料の場合は若干の樹脂臭で済みますので、ワックスと大差ありません。

  • 密着テストが必要

    ワックスで管理されている場合、密着不良のリスクがあるので一度ワックスを除去する必要があります。 ワックス以外の下地に塗布する場合でも、必ず密着するとは断言できませんので、事前に密着テストを行う必要があります。

    密着テスト

    まずコインでフロア表面を擦ります。写真のように塗膜が細かい削り粉になる場合は、樹脂ワックスが塗布されています。この樹脂ワックスをいったんすべて除去してからでないと、ウレタン塗料は塗布できません。ビニール床などの化学床と同じように樹脂ワックスのはく離作業を行った場合、フローリングがアルカリ焼けを起こすリスクがありますので、原則ドラムサンダー掛けが必要となります。


    密着テスト

    コインでフロア表面を擦っても、削り粉でなかった場合には、次の手順で密着テストを行います。
    (1)フロア表面のちりやゴミを取り除きます。
    (2)『プレップ』をスプレーし、タオルで拭きあげます。
    (3)乾燥後、10?5cm角程度、マスキンテープで養生します。
    (4)ウレタン塗料を塗布します。
    (5)乾燥前にマスキングテープを取り除きます。
    (6)3日以上経過した後、コインで表面を擦ります。

    この最後のコインテストで、塗膜がフィルム状に剥がれてこなければ、下地と十分な密着が得られることがわかりましたので、本施工が可能と言えます。

    密着テスト
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樹脂ワックスのデメリット
  • 水分によるフローリングへの悪影響

    ワックス塗布前の床表面の洗浄作業に、大量の水を使用します。 木材にとって水は大敵です。床材表面は塗装されているので、表面からの水などの浸入は防げますが、フローリングの継ぎ目は塗装されておらず、継ぎ目から水や洗浄剤等が浸入し、次のトラブルの原因となる事があります。
    実際に水分の使用厳禁をうたうフローリングメーカーは少なくありません。

    1. 床が反る
    2. 突き上げる
    3. 床鳴りが発生する
    4. 床が膨れる
    5. 変色する
    6. 腐食する

  • 密着不良の危険性

    フローリングの床材表面にあらかじめ施されている塗料と樹脂ワックスとが密着不良を起こし、ワックスの粉化現象(パウダリング現象)を起こす場合があります。

  • 劣化が早い
  • 短時間で自然劣化しますので、繰り返し塗り続ける必要があります。樹脂ワックスは短期間での使用を目的としていますので、数ヶ月から1年間で自然劣化します。

  • 美観を損ねる

    樹脂ワックスには光沢仕上げしかありませんので、塗り重ねることで床材表面の光沢が増し、”木”本来の暖かみのある風合いが損なわれる場合があります。

  • 樹脂ワックスのはく離作業によるリスク

    樹脂ワックスのはく離作業によるリスク ワックスを塗布すると、必ずはく離作業(古いワックス塗膜を除去する)が必要です。求められる美観レベル、歩行頻度や土砂の持ち込み、塗布周期などに大きく左右されますが、早くて1年に1回〜5年に1回程度は必要です。ただ、塗布周期が短いからといって、はく離作業周期が長くなるというものではありません。また、はく離周期が長くなれば長くなるほど、フローリングに対する負荷は大きくなり、はく離作業時に大量の水を使用しますので、フローリングへの悪影響は、表面洗浄時の比ではありません。 ワックスはく離剤の強アルカリによって床材表面の塗装が破壊されたり、床がふくれる、変色するなどのトラブルが発生する場合があります。

  • メンテナンス方法が限定される

    いったんワックスを塗布すると、そのワックスをはく離しない限りは、ワックスを塗り続けるしかメンテナンス方法がなくなってしまいます。

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